第1 請求
1 被告株式会社みずほ銀行は,原告Aに対し,500万円及びこれに対する平成14年5月 9日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。2 被告株式会社三井住友銀行は,原告株式会社大東コア技研に対し,300万円及びこれに 対する平成14年4月8日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
3 被告株式会社三井住友銀行は,原告Bに対し,150万円及びこれに対する平成14年4 月8日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,(1) 大阪弁護士会が,原告Aの代理人弁護士の申出を受けて,被告株式会社みずほ銀行(以 下「被告みずほ銀行」という。)に対し同被告に設けられた預金口座の開設者の名称及び住所 等につき弁護士法23条の2に基づいて照会した(以下,弁護士法23条の2に基づく照会を 「23条照会」という。)のに対して,被告みずほ銀行が,預金口座の開設者の承諾が得られ ないことを理由にその報告を拒否したところ,その報告拒否は違法なものであるなどとして, 原告Aが,被告みずほ銀行に対し,不法行為に基づく損害賠償として500万円及びこれに対 する23条照会に対する報告を拒否した日である平成14年5月9日から支払済みまで民法所 定の年5%の割合による遅延損害金の支払を
(2) 大阪弁護士会が,原告株式会社大東コア技研(以下「原告会社」という。)の代理人弁 護士の申出を受けて,被告株式会社三井住友銀行(以下「被告三井住友銀行」という。)に対 し同被告に設けられた預金口座の開設者の住所及び電話番号について23条照会をし,また, 大阪地方裁判所が,被告三井住友銀行に対し同口座の開設者の住所及び電話番号について調査 を嘱託した(民事訴訟法186条)のに対して,被告三井住友銀行が,預金口座の開設者の承 諾が得られないことを理由にその報告をいずれも拒否したところ,その報告拒否はいずれも違 法なものであるなどとして,
ア 原告会社が,被告三井住友銀行に対し,不法行為に基づく損害賠償として300万円及び これに対する23条照会に対する報告を拒否した日である平成14年4月8日から支払済みま で民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を
イ 原告会社の代表取締役である原告B(以下「原告B」といい,原告会社と原告Bとを併せ て「原告Bら」という。)が,被告三井住友銀行に対し,不法行為に基づく損害賠償として1 50万円及びこれに対する23条照会に対する報告を拒否した日である平成14年4月8日か ら支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を 各求めている事案である。
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1 前提となる事実等(当事者間に争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実
等。
以下,書証番号は特記なき限り枝番を含むものとする。)
(1) 原告A関係
ア 原告Aは,平成14年4月22日ころ,大阪弁護士会所属の前川清成弁護士(以下「前川 弁護士」という。)に対し,破産及び免責の申立ての代理を委任した。【甲A1の1,甲A1 0,11,弁論の全趣旨】
イ(ア) 前川弁護士は,平成14年4月26日,大阪弁護士会に対し,照会先を被告みずほ銀 行上六支店,相手方を「C」,事件名を未提訴破産免責申立事件,申出の理由を,要旨,@ 依頼者は相手方を始め19名の高利貸しから約350万円の借入があるが,返済を継続するこ とができないので,大阪地方裁判所に自己破産を申し立てるべく用意している,A 自己破産 を申し立てるに際しては裁判所に対して債権者一覧表を提出すべきであり,また,貸金業規制 法に基づく取立規制を生じさせるために相手方に対して代理人就任通知書を送付したいが,相 手方は無登録のいわゆる「システム金融」と思われ,依頼者に対してその名称と送金先銀行口 座のみを知らせていたにすぎないため,相手方の名称及び所在が判明しない,などと照会書に 記載して,下記の預金口座(以下「本件預金口座@」という。)につき,これを有する者の名 称(氏名あるいは商号)及び所在地(住所)の報告を求めるよう23条照会を申し出た。
同弁 護士会は,同日,上記申出を受け付けた。
【争いのない事実,甲A1の1】
記
銀 行 名 被告みずほ銀行(旧富士銀行)上六支店
種 類 普通預金
口座番号 1658445
名 義 人 C
(イ) 大阪弁護士会は,上記(ア)の申出を受け付けた後,被告みずほ銀行上六支店に対し,上 記(ア)の照会書を送付して23条照会をし,本件預金口座@を有する者の名称(氏名あるいは 商号)及び所在地(住所)を報告するよう要求した(以下,この23条照会を「本件23条照 会@」という。)。
【争いのない事実,甲A1の1】
ウ 被告みずほ銀行上六支店は,平成14年5月10日,大阪弁護士会に対し,相手方の承諾 が得られないため本件23条照会@に対する報告をすることはできないなどと記載した同月9 日付けの回答書を送付した。
【争いのない事実,甲A1の2】 エ(ア) 原告A代理人(前川弁護士ら)は,平成14年6月7日,被告みずほ銀行に対し,原 告Aが同月2日に「東洋」の従業員と名乗る者から取立行為を受けたこと及び本件預金口座@ の預金者が無登録の貸金業者と思われることを記載した上,この書面が到達してから3日以内 に本件預金口座@を有する者の氏名及び住所を原告A代理人あてに文書で報告するよう求める 旨の同月5日付けの書面を内容証明郵便で送付したが,被告みずほ銀行は,原告A代理人に対 し,本件預金口座@の開設者の氏名及び住所を報告しなかった。
【争いのない事実,甲A2】
(イ) 原告A代理人(前川弁護士ら)は,平成14年6月19日,被告みずほ銀行に対し,上 記(ア)の内容証明郵便による通知と被告みずほ銀行の回答拒絶の事実を確認し後日の証拠とす るなどと記載した同月18日付けの書面を内容証明郵便で送付したが,同被告の従業員は,同 月20日,前川弁護士に電話をかけ,本件預金口座@の開設者の氏名及び住所を報告しない旨 回答した。
【争いのない事実,甲A3】
オ 大阪弁護士会は,平成14年9月27日,被告みずほ銀行上六支店に対し,本件23条照 会@に対しては拒否するにつき正当な理由がない限り法的に回答する義務があり,一律かつ抽 象的に回答拒否をすることは許されない,本件23条照会@は,貸金業規制法に基づく取立規 制を生じさせ,また,破産申立書添付の債権者一覧表を作成する目的があるから,照会の必要 性がある,本件預金口座@の開設者の住所等を報告したからといって同人のプライバシーを侵 害することにはならず,むしろ同人に対する文書の送達を確実にし,破産申立事件における同 人ないしその関係者の手続保障の確保の観点から利益になるものである,本件23条照会@に 早急に回答していただきたい,本件においては,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に 関する法律の適用の可能性があるから照会の必要性は一層高く,単に預金者のプライバシー保 護等の問題としては処理できない点がある,などと記載した大阪弁護士会会長及び同司法委員 会委員長作成に係る同月26日付けの「申入書」と題する書面を送付した。
【争いのない事 実,甲A4】
カ 被告みずほ銀行上六支店は,平成14年10月17日,大阪弁護士会に対し,本件預金口 座@の開設者であるCの氏名及び住所を記載した同日付けの回答書を送付した。
【争いのない 事実,甲A5】
(2) 原告Bら関係
ア 当事者(ア) 原告会社は,とび・コンクリート工事業等を目的とする株式会社であり,原告Bは,原 告会社の代表取締役である。
【甲B22の1,弁論の全趣旨】
(イ) 被告三井住友銀行は,平成15年3月17日の株式会社三井住友銀行との合併により存 続会社となった株式会社わかしお銀行(ただし,その後の商号変更により,商号は株式会社三 井住友銀行となっている。)である(以下,上記合併前の株式会社三井住友銀行と被告三井住 友銀行とを併せて「被告三井住友銀行」という。)。
【争いのない事実】
イ 原告会社は,平成14年1月7日,「エース企画」と称する金融業者(電話番号a。
以下 「エース企画」という。)に電話をかけ,同社に対して60万円の借入れを申し込み,同日, 同社の指示に従い,下記の各小切手(以下,下記の小切手のうちAの小切手を「本件小切手」 という。)を各振り出し,それらを品川郵便局留置「エース企画」あてに送付した。
エース企 画は,同日,原告会社名義の当座預金口座に59万5000円を振り込んだ。
【甲B1ないし 3,22の1,甲B23,弁論の全趣旨】
記
@ 小切手番号 EB16486
額 面 40万円
振出日 平成14年1月15日
支払地 大阪厚生信用金庫四条畷支店
A 小切手番号 EB16487
額 面 40万円
振出日 平成14年1月21日
支払地 大阪厚生信用金庫四条畷支店
ウ 原告会社は,平成14年1月17日ころ,大阪弁護士会所属の植田勝博弁護士(以下「植 田弁護士」という。)に対し,同社の債務整理等を委任した。
【甲B6の1,甲B22の1, 甲B23,弁論の全趣旨】
エ(ア) 被告三井住友銀行芝支店は,平成14年1月29日ころ,本件小切手の持参人から本 件小切手の取立委任を受けたため,手形交換所において本件小切手の支払呈示をした。
【争い のない事実】
(イ) 原告会社は,平成14年1月29日ころ,大阪厚生信用金庫に40万円を預託して小切 手の異議申立手続を委任し,これを受けた同金庫が,大阪手形交換所に対し,契約不履行を理 由として上記40万円を提供して異議申立てをしたところ,本件小切手の裏面に「D」と記載 されていることが判明した。
【争いのない事実,甲B4,5,22の1】
オ 植田弁護士は,平成14年3月4日,大阪弁護士会に対し,「a」の電話番号で東日本電 信電話株式会社と契約している者の氏名,住所及び電話番号等について23条照会を申し出 た。
これを受けた同弁護士会が,同社に対し,23条照会をして上記事項を報告するよう要求 したところ,同社は,同月13日,同弁護士会に対し,電話番号「a」の契約者名が「株式会 社アイ・エス・プラン」であること,及びその設置場所が「東京都渋谷区bc丁目d−e f g階」であること等を報告した。
【甲B6,22の1】
カ(ア) 植田弁護士は,平成14年3月22日,大阪弁護士会に対し,照会先を被告三井住友 銀行芝支店,相手方を株式会社アイ・エス・プランニング,事件名を「出資法違反及び貸金業 法違反の刑事告訴事件並びに契約無効確認訴訟事件」,申出の理由を,要旨,原告会社は同社 が振り出した下記の小切手につき異議提供金を提供しているが,異議提供金の取戻しのため契 約無効確認請求訴訟の提起の準備中であるところ,その小切手を被告三井住友銀行に持ち込ん だ者を特定する必要がある,などと照会書に記載して,被告三井住友銀行芝支店に設けられた D名義の預金口座(以下「本件預金口座A」という。)につき,開設者の住所及び電話番号の 報告を求めるよう23条照会を申し出た。
同弁護士会は,同日,上記申出を受け付けた。
【争 いのない事実,甲B7の1】
記
金 額 40万円
振 出 日 平成14年1月21日
振 出 地 大東市
振 出 人 株式会社大東コア技研代表取締役B
支払場所 大阪厚生信用金庫四条畷支店
小切手番号 EB16487
(イ) 大阪弁護士会は,上記(ア)の申出を受け付けた後,被告三井住友銀行芝支店に対し,上 記(ア)の照会書を送付して23条照会をし,本件預金口座Aの開設者の住所及び電話番号を報 告するよう要求した(以下,この23条照会を「本件23条照会A」という。)。
【争いのな い事実,甲B7の1】
(ウ) 被告三井住友銀行は,平成14年4月11日,大阪弁護士会に対し,同被告は顧客に対 する守秘義務を負っており,顧客の了解が得られないので,本件23条照会Aに対する報告を することはできないなどと記載した同月8日付けの回答書を送付した。
【争いのない事実,甲 B7の2】
(エ) 被告三井住友銀行は,上記(ウ)の後から現在に至るまで,本件23条照会Aに対する報 告をしていない。
【弁論の全趣旨】
キ(ア) 原告会社(代理人植田弁護士ら)は,平成14年6月19日,大阪地方裁判所に対 し,エース企画こと株式会社アイ・エス・プラン(住所 東京都渋谷区bc−d−e)及びD (住所 東京都渋谷区bc−d−e(株)アイ・エス・プラン方)等を被告として,本件小切 手に係る債務が存在しないことの確認並びに本件小切手の返還等を請求する訴訟(大阪地方裁 判所平成14年(ワ)第6063号。
以下「別件訴訟」という。)を提起したところ,被告の Dに対しては訴状副本が送達されなかった。
【甲B8,9,11,13,15,22の1,弁 論の全趣旨】
(イ) 原告会社(代理人植田弁護士ら)は,平成14年7月19日,大阪地方裁判所に対し, Dの住所及び電話番号について調査の嘱託の申出をし,これを受けた同裁判所は,同月30 日,被告三井住友銀行に対し,Dの住所及び電話番号について調査を嘱託した(以下,この調 査の嘱託を「本件調査嘱託」という。)。
【甲B9,10,22の1,乙B1】 (ウ) 被告三井住友銀行は,平成14年8月16日,大阪地方裁判所に対し,Dの了承が得ら れなかったので,本件調査嘱託に対して回答することはできないなどと記載した同月13日付 けの回答書を送付した。
【争いのない事実,甲B10】
(エ) 原告会社(代理人植田弁護士ら)は,平成14年10月7日,大阪地方裁判所に対し, 別件訴訟についてDに対する公示送達を申し立てた。
【甲B11,15,22の1】
(オ) 原告会社代理人(植田弁護士ら)は,平成14年11月12日,被告三井住友銀行芝支 店に対し,Dの住所及び電話番号を報告するよう求める旨の同月11日付けの書面を内容証明 郵便で発送したが,被告三井住友銀行浜松町支店副支店長は,同月21日,原告会社代理人の 浅葉律子弁護士(以下「浅葉弁護士」という。)に電話をかけ,本件23条照会A及び本件調 査嘱託に対する報告はしない旨を告げた。
【争いのない事実,甲B12】
(カ) 原告会社代理人(植田弁護士ら)は,平成14年12月10日,被告三井住友銀行芝支 店に対し,Dの住所及び電話番号を開示するよう再度求める旨の同月6日付けの書面を内容証 明郵便で発送したが,被告三井住友銀行は,同月24日,原告会社代理人に対し,同被告は顧 客に対する守秘義務を負っていることから顧客情報を開示することはできないなどと記載した 同日付けの書面を内容証明郵便で発送した。
【争いのない事実,甲B13】 (キ) 別件訴訟においては,Dに対して訴状の公示送達がされ,平成14年12月18日に第 1回口頭弁論期日が開かれ,平成15年1月27日の第4回口頭弁論期日に原告会社の請求を 認める旨の判決が言い渡された。
【争いのない事実】
2 本件の争点
(1) 原告Aの被告みずほ銀行に対する損害賠償請求権が成立するか否か,及び成立するとし た場合にその額はいくらか。(2) 原告Bらの被告三井住友銀行に対する各損害賠償請求権が成立するか否か,及び成立す るとした場合にその額はいくらか。
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当事者の主張
裁判所の判断
上告の棄却
給与が未払い
もの
香港
提供